日本の首都圏でお手頃な住まいを探すのは簡単ではありません。都心へのアクセスが良く、かつ家賃が安い物件を見つけるのは至難の業です。特に東京23区内は日本一といえるほど鉄道網が発達していますが、路線や駅が多すぎて選択肢が多すぎるのも事実です。今回は都心物件に焦点を当て、家賃相場が安い駅のランキングをご紹介します。シングル向け物件(10㎡以上~40㎡未満、ワンルーム・1K・1DK)の家賃相場をもとに、コストパフォーマンスの高いエリアを厳選しました。初めて一人暮らしを始める方や、転職を機に引っ越しを考えている方にとって、参考になる情報をお届けします。
都心物件の家賃相場が安い駅TOP20|コスパ最強の物件が見つかるエリアとは
東京23区内にある駅の中で家賃相場が最も安いのはどこでしょうか?調査によると、西武新宿線・上井草駅が6.5万円でトップに立ちました。続いて京成本線・江戸川駅と都電荒川線・梶原駅が同率2位で6.6万円です。TOP20を地域別に見ると、足立区が9駅、江戸川区が5駅、葛飾区が2駅と、23区の東側エリアが多くランクインしています。他には杉並区、北区、練馬区、世田谷区からも各1駅がランクイン。上位の駅はいずれも6万円台後半から7万円台前半と、都心物件としては比較的リーズナブルな価格帯に収まっています。
ランキングトップ10の詳細を見てみましょう。3位以降は東武伊勢崎線・堀切駅(足立区)が6.83万円で4位、都営新宿線・篠崎駅(江戸川区)が6.88万円で5位、そして東武伊勢崎線・梅島駅(足立区)、京成本線・京成小岩駅(江戸川区)、北総線・新柴又駅(葛飾区)、日暮里・舎人ライナー・扇大橋駅(足立区)が同率6位で6.9万円となっています。10位は西武新宿線・上石神井駅(練馬区)で6.95万円です。
このランキングから見えてくるのは、23区内でも東側エリアの家賃相場の安さです。特に足立区は9駅もランクインしており、コストパフォーマンスの高さが際立っています。一方で、中央線や山手線沿線などの都心部はランキング外となっており、家賃相場の地域差が顕著に表れています。予算を重視する場合は、東側エリアの物件を中心に探すのがおすすめです。ただし、各駅の特徴や周辺環境は異なりますので、単に家賃だけでなく、生活のしやすさも含めて検討することが大切です。
一人暮らしにおすすめ!都心物件で家賃相場が最も安い駅は中央線沿線にあり
家賃相場が最安値の上井草駅は、杉並区に位置する西武新宿線の駅です。駅周辺には飲食店が立ち並び、生活利便性も高いエリアになっています。西武新宿線の各駅停車で3駅目の鷺ノ宮駅から準急に乗り換えると、西武新宿駅まで計約22分でアクセス可能です。都心へのアクセスも悪くない距離感です。
上井草駅の南側にはラーメン店や焼肉店などの飲食店街があり、学生にも人気です。特に駅から徒歩すぐの場所には杉並区立の「上井草スポーツセンター」と早稲田大学のラグビー場があり、スポーツを楽しむ若者たちにも利用されています。駅前商店街にはミニスーパーがあるほか、徒歩圏内に複数の大型スーパーもあるため、自炊派の方も安心して暮らせます。
生活環境の良さだけでなく、将来性も期待できるのが上井草駅の魅力です。同駅を含む井荻駅~西武柳沢駅間の約5.1km区間では2024年より鉄道の高架化に向けた事業が開始されています。これにより踏切が撤去されると、交通渋滞や線路による街の分断が解消されます。また、側道も整備される予定であり、街の一体化が進むことで今後さらに住みやすい環境になることが期待できます。
同じく家賃相場が安い2位の京成本線・江戸川駅(6.6万円)も魅力的なエリアです。駅の高架下にはスーパーとドラッグストアがあり、買い物に便利。京成本線の普通列車で青砥駅に出てから通勤特急に乗り換えると日暮里駅まで計約23分で行くことができ、そこからJR山手線への乗り換えも可能です。江戸川駅の東側には江戸川が流れており、例年約5万本の花ショウブが咲く「小岩菖蒲園」の最寄駅でもあるなど、自然環境にも恵まれています。
都電荒川線・梶原駅(北区、6.6万円)周辺も昔ながらの商店街があり、のどかな雰囲気が魅力です。鮮魚店やミニスーパーなどに加え、「都電もなか」が名物の和菓子店もあります。これらの駅はいずれも都心へのアクセスと生活環境のバランスが取れた、一人暮らしにおすすめのエリアと言えるでしょう。
通勤時間20分以内!都心へのアクセス抜群で家賃が安い穴場駅ランキング
「安い家賃も大事だけど、都心へのアクセスも重視したい」という方に注目してほしいのがつくばエクスプレス・青井駅です。家賃相場は7万円でランキング12位ですが、東京駅までは乗り換え1回で約24分と、通勤にも便利です。今回調査した駅の中で、東京駅まで最も短時間でアクセスできる駅となっています。
つくばエクスプレスは、秋葉原駅から茨城県つくば市までを結ぶ比較的新しい路線です。青井駅から南千住駅に出て、JR上野東京ライン直通のJR常磐線に乗ると、東京駅まで乗り換え1回・計約24分で到着します。さらに、つくばエクスプレスの沿線には秋葉原駅や南千住駅などの主要駅があり、JR山手線・京浜東北線・総武線や東京メトロ日比谷線、都営新宿線などへの乗り換えも可能です。
青井駅周辺は都営アパートなどの集合住宅や一戸建てが立ち並ぶ住宅街で、生活に必要なスーパーやドラッグストアも充実しています。駅から15分ほど歩いて大通りの環七や江北橋通りに出れば、ラーメンや回転寿司、とんかつなどの飲食チェーン店もあります。また、駅近くの「青井兵和通り商店街」では朝市や夕市が開かれており、地域のコミュニティも活発です。春と秋には約100種880株のバラが色とりどりに咲く「青和ばら公園」があるなど、23区内にありながらのどかな雰囲気も魅力の一つです。
東京駅の家賃相場が14.4万円であることを考えると、半額以下で落ち着いた暮らしができる青井駅は狙い目と言えるでしょう。特に通勤時間を重視する社会人の方にとっては、時間とコストのバランスが取れた理想的な住環境かもしれません。
その他にも、JR中央・総武線各駅停車の平井駅(江戸川区、7.2万円)や小岩駅(江戸川区、7.2万円)も東京駅まで30分以内でアクセス可能です。また、東京メトロ東西線の葛西駅(江戸川区、7.3万円)も大手町駅まで直通で行けるため、通勤に便利なエリアです。これらの駅は家賃相場が7万円台前半と比較的リーズナブルながら、都心へのアクセスが良好なため、コストパフォーマンスの高い穴場駅と言えるでしょう。
住みやすさで選ぶ!都心物件の家賃・利便性・治安を総合評価したベストエリア
ランキング上位の駅をエリア別に見ると、足立区と江戸川区の駅が多くランクインしています。特に足立区の堀切駅は家賃相場6.83万円で4位にランクイン。東武伊勢崎線の区間急行・準急・普通列車が停車し、浅草駅まで約15分とアクセスも良好です。浅草駅の1駅手前には東京スカイツリーの最寄駅・とうきょうスカイツリー駅もあり、観光スポットへのアクセスも便利です。
堀切駅から3駅目の曳舟駅で東武伊勢崎線の押上方面行きに乗り換えると、押上駅から先で東京メトロ半蔵門線と直通運転される電車も利用可能です。堀切駅から東京メトロ半蔵門線沿線の大手町駅や永田町駅、渋谷駅にも、乗り換え1回でアクセスできる利便性の高さも魅力です。
堀切駅周辺はすぐ東側に荒川が流れ、西口駅前には東京未来大学があります。駅の南側には区立の運動広場や公園があるため、自然環境も豊かです。徒歩15分圏内にはコンビニやスーパー、ドラッグストアが複数あり、日常生活には困りません。電車で2駅、徒歩でも25分程度の距離にある北千住駅に行けば、駅ビルなどの大型商業施設や飲食店も充実しているため、ショッピングや食事を楽しみたい時にも便利です。
江戸川区からは篠崎駅(6.88万円)、京成小岩駅(6.9万円)、一之江駅(7万円)、瑞江駅(7.05万円)など、複数の駅がランクインしています。篠崎駅は都営新宿線の駅で、新宿駅まで直通で行けるため通勤にも便利です。駅周辺には「篠崎公園」という広大な公園があり、子育て世帯にも人気のエリアです。
葛飾区からは新柴又駅(6.9万円)と柴又駅(6.98万円)がランクイン。柴又駅は映画「男はつらいよ」の舞台として知られる柴又帝釈天の最寄駅で、レトロな雰囲気が魅力です。駅周辺には「寅さん記念館」や「山本亭」などの観光スポットもあります。
これらのエリアに共通するのは、比較的リーズナブルな家賃ながら、生活に必要な施設が揃っている点です。特に足立区は東京23区の中でも家賃相場が低めで、かつ都心へのアクセスも悪くないため、コストパフォーマンスを重視する方におすすめのエリアと言えるでしょう。
あわせて読みたい|都心物件を賢く探すための完全ガイド
都心物件を探す際には、単に家賃だけでなく通勤時間や生活利便性、将来性なども含めて総合的に判断することが大切です。今回ランキング入りした駅の多くは、再開発や交通インフラの整備が進んでいるエリアも少なくありません。特に杉並区の上井草駅や足立区のつくばエクスプレス沿線は、今後の発展が期待できる地域です。
物件選びの際のポイントとして、まず通勤・通学時間を考慮しましょう。片道1時間以上かかる場所では、長期的に見ると時間的・体力的な負担が大きくなります。理想的には、主要駅までの所要時間が30分以内のエリアを選ぶことをおすすめします。
次に、生活利便性も重要な要素です。スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの日常生活に必要な施設が徒歩圏内にあるかどうかをチェックしましょう。特に一人暮らしの場合、帰宅途中に買い物できる環境は非常に重要です。また、病院や郵便局、銀行などの施設へのアクセスも確認しておくと安心です。
治安の良さも長期的に住むためには欠かせない要素です。実際に物件を見に行く際は、昼間だけでなく夜間の様子も確認すると良いでしょう。駅から物件までの道のりに街灯が少ない場合や、人通りが極端に少ない場所は避けることをおすすめします。
また、今後の発展性も考慮に入れると良いでしょう。再開発計画がある地域や、新しい商業施設がオープン予定の場所は、将来的に利便性が高まる可能性があります。例えば、今回ランキング入りした上井草駅周辺では鉄道高架化事業が進行中であり、完成すれば街の利便性が向上することが期待できます。
物件の内部設備も重要なポイントです。特に断熱性や防音性は快適な暮らしを左右します。築年数が古い物件でも、リノベーションされていれば快適に過ごせる場合もあります。内見の際には、水回りの使い勝手や収納スペースの広さ、日当たりなども確認しましょう。
おすすめ関連記事|都心物件の選び方・契約のポイント・住環境比較

都心物件を選ぶ際には、いくつかのポイントに注意すると良いでしょう。まず、通勤・通学のしやすさは重要な要素です。今回紹介した駅の中には、乗り換え1回で主要ターミナル駅にアクセスできるものも多くあります。例えば、つくばエクスプレス・青井駅からは東京駅まで約24分、東武伊勢崎線・堀切駅からは浅草駅まで約15分と、都心へのアクセスが良好です。
次に、日常生活の利便性も重要です。スーパーやコンビニ、飲食店などの商業施設が充実しているかどうかをチェックしましょう。上井草駅周辺には複数のスーパーがあり、江戸川駅の高架下にはスーパーとドラッグストアがあるなど、生活に便利なエリアが多くあります。また、公園や図書館などの公共施設へのアクセスも確認しておくと良いでしょう。
契約の際には、敷金・礼金や更新料などの初期費用や管理費なども含めた総額で比較することをおすすめします。特に敷金・礼金は地域によって慣習が異なる場合があるため、事前に確認しておくことが大切です。また、保証会社の利用が必須の物件も増えているため、その費用も考慮に入れましょう。
物件の構造や設備も重要なチェックポイントです。鉄筋コンクリート造(RC造)は防音性や耐火性に優れていますが、鉄骨造(S造)や木造に比べて家賃が高めになる傾向があります。また、オートロックや防犯カメラの有無など、セキュリティ面も確認しておくと安心です。
インターネット環境については、物件によって無料Wi-Fiが完備されている場合や、光回線が引き込まれている場合があります。テレワークが増えている現代では、快適なインターネット環境は必須と言えるでしょう。
最後に、契約前には必ず内見を行い、実際の住み心地をイメージすることが大切です。日当たりや風通し、騒音の有無など、住んでみないとわからない部分もありますが、内見時に確認できる範囲でチェックしておきましょう。また、可能であれば平日と休日の両方で内見すると、周辺環境の違いも把握できます。
都心物件は競争率が高いため、気に入った物件があれば迅速に行動することも大切です。特に人気エリアや条件の良い物件は、公開されてすぐに決まってしまうことも珍しくありません。事前に必要書類を準備しておくなど、スムーズに契約できる準備をしておくことをおすすめします。
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