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空室対策に家賃保証は有効?仕組みとメリット・デメリットを徹底解説

賃貸物件のオーナーにとって最大の悩みといえば空室問題です。収入の減少だけでなく、空室期間が長引くと物件の価値低下にもつながりかねません。そんな空室リスクへの対策として注目されているのが、「家賃保証」というサービスです。

家賃保証には主に「空室保証」と「サブリースによる家賃保証」の2種類があります。

どちらも空室対策として有効ですが、仕組みやメリット・デメリットは大きく異なります。この記事では、空室対策としての家賃保証について詳しく解説し、あなたの物件に本当に必要かどうかの判断材料を提供します。

目次

空室対策としての家賃保証の基本

家賃保証の定義と種類

家賃保証とは、賃貸物件の空室リスクを軽減するためのサービスです。大きく分けて「空室保証」と「サブリースによる家賃保証」の2種類があります。

  • 空室保証:空室が発生して家賃収入が減少した場合に、一定額を補填してもらえるサービス
  • サブリースによる家賃保証:物件を丸ごと借り上げてもらい、空室の有無にかかわらず一定の家賃収入を得られるサービス

なお、これらは入居者が家賃を滞納した場合に保証する「滞納保証」とは異なるサービスです。用語がわかりにくいですが、この記事では「空室保証」と「サブリースによる家賃保証」という表現で統一して解説します。

空室リスクを軽減する仕組み

家賃保証サービスは、空室による収入減少のリスクを一定の範囲内に抑える仕組みです。

ただし、空室リスクがゼロになるわけではありません。どちらのサービスも、満室時の家賃収入の8〜9割程度を保証するのが一般的で、満額が保証されるわけではないのです。

家賃保証サービスが普及している背景には、不動産投資の拡大やオーナーの高齢化、管理の効率化ニーズがあります。特に副業で不動産経営を行うオーナーや、遠方に物件を所有するオーナーにとって、空室リスクを軽減できるサービスは魅力的です。

空室保証の仕組みと特徴

空室保証の基本的な仕組み

空室保証は、家賃収入が満室時より一定以下になった場合に、その差額を補填してもらえるサービスです。

例えば、満室時の家賃収入100万円の物件で、80%保証の契約をしている場合、実際の家賃収入が70万円に落ち込んだとき、保証会社は10万円(80万円-70万円)を補填します。

この仕組みは、ケガや病気に備えて掛け捨ての保険に加入するイメージに近いです。

物件オーナーは保証会社に毎月一定の保証料を支払い、空室が増えたときに備えます。

保証料と保証の範囲

空室保証の保証料は、物件の立地や築年数、条件などによって異なります。一般的には満室時家賃収入の3〜5%程度が相場です。保証の範囲は通常、満室時家賃収入の80〜90%までとなっており、完全に100%が保証されるわけではありません。

物件管理との関係

空室保証では、保証会社に建物管理業務を委託しないため、物件の管理業務は別の管理会社に委託するか、オーナー自身が行う必要があります。これは後述するサブリースとの大きな違いです。

契約時の注意点

空室保証契約を結ぶ際は、以下の点を確認しましょう。

  • 保証料の金額と支払い方法
  • 保証される家賃の割合(保証率)
  • 保証の対象となる費用(共益費や駐車場代も含まれるか)
  • 契約期間と更新条件
  • 解約条件

サブリースによる家賃保証の仕組みと特徴

サブリース契約の基本的な仕組み

サブリース契約とは、物件をまるごと一棟サブリース会社(不動産会社)が借り上げるサービスです。物件は、サブリース会社から入居者へ「転貸」される形態になります。オーナーはサブリース会社との契約だけで済み、入居者とは直接契約しません。

オーナーは空室の有無にかかわらず、一定の家賃収入(=サブリース賃料)を受け取ることができます。サブリース会社は借り上げた物件を入居者に貸し出すことで利益を得る仕組みです。

サブリース賃料の相場と契約内容

サブリース賃料は、満室時家賃収入の80〜90%程度が相場です。

立地条件が良い物件ほど料率は高くなり、不利な立地では低めの料率になります。「稼働率70%でも80〜90%の家賃がもらえる」という良い面がある一方で、「満室稼働でも80〜90%の家賃しか受け取れない」という側面もあります。

サブリース契約の一般的な内容は以下の通りです。

  • オーナーからの中途解約が難しい
  • 満室賃料に対する一定割合がサブリース賃料として支払われる
  • 保証率(サブリース賃料)は2年ごとに見直される可能性がある
  • 入居者からの敷金、礼金、更新料は、サブリース会社が受け取る
  • サブリース賃料の免責期間がある(竣工直後と入居者の退去後の数ヶ月)
  • 管理会社、修繕工事会社は指定の会社があって、変更できない

賃料改定と免責期間

サブリース契約では、「一定期間ごとに賃料の見直しが可能」という内容が含まれているのが一般的です。

周辺の家賃相場が下落した場合、サブリース会社は借地借家法の保護を受けて賃料減額を要求できます。「家賃保証30年」と言っても、30年間同じ家賃が保証されるというわけではない点に注意が必要です。

また、サブリース契約では「免責期間」が設けられることが多いです。免責期間とは、新築時の入居者募集期間や退去後の再募集期間など、サブリース会社がオーナーに家賃を支払わなくてもよい期間のことです。一般的には1〜3ヶ月程度設定されることが多いです。

サブリース会社の役割

サブリース契約では、サブリース会社が物件管理も担当します。

入居者募集や契約、家賃回収、建物の管理、クレーム対応など、賃貸経営に関わる業務をほぼ全て任せることができます。オーナーは手間をかけずに賃貸経営ができる点が大きなメリットです。

空室保証とサブリースのメリット比較

空室保証のメリット

稼働率が良いときは収入アップ

空室保証は、稼働率が悪い時の空室損失の一部を補填するサービスです。そのため、稼働率が良ければ、損失の補填がない代わりに、増えた家賃は全てオーナーのものになります。サブリースでは稼働率が良くても一定額しか受け取れないのに対し、空室保証では実際の収入に応じた利益を得られます。

損失の一定範囲への抑制

長期的な空室などが発生した場合でも、空室保証があれば損失を一定の範囲内に抑えることができます。保証がない場合に比べると心理的な安心感を得られますし、金融機関からの融資も受けやすくなるケースがあります。

サブリースのメリット

安定した収入の確保

サブリースの最大のメリットは、空室の有無にかかわらず、継続的に一定の家賃収入を得られる点です。**退去の通知が出るたびに心配したり、入居者がすぐに見つかるか心配したりする必要がなく、安定した経営が可能になります。

物件管理の手間削減

サブリース契約では、物件に関する管理業務のほとんどをサブリース会社が請け負います。入居者募集から賃料回収、日常の建物管理、修繕計画の立案まで、サブリース会社が対応するので、オーナーの負担が大幅に軽減されます。

どちらが向いている物件・オーナー像

  • 空室保証が向いているケース:立地条件が比較的良く、高稼働が期待できるが安全策も欲しい場合
  • サブリースが向いているケース:立地条件があまり良くない、管理の手間をかけたくない、収入の安定性を最優先する場合

空室保証とサブリースのデメリット比較

空室保証のデメリット

継続的な保証料負担

空室保証のデメリットは、稼働率が良くても保証料を毎月支払い続ける必要がある点です。長期間稼働率が高く維持できれば、「保証料の支払いが無駄になった」と感じる可能性もあります。

完全保証ではない点

空室保証は満室家賃の100%を保証するものではありません。最大でも90%程度が相場なので、平均稼働率が90%を超えると予想される物件では、空室保証を付ける必要性は低くなります。

サブリースのデメリット

定期的な賃料見直し

サブリース契約では「一定期間ごとの賃料見直し」が条項に含まれているのが一般的です。市場家賃が下落すると、サブリース賃料も下がる可能性があります。契約当初の家賃がずっと続くことは稀なので、長期的な収益計画を立てる際は注意が必要です。

管理会社・修繕業者の選択制限

サブリース契約では、管理会社や修繕工事の会社が指定されており、変更できないのが一般的です。

指定業者の修繕費用が割高な場合でも、その会社に依頼しなければならず、結果的に維持費が高くなる可能性があります。

中途解約の難しさ

サブリース契約では借地借家法が適用されるため、オーナーからの解約が難しい傾向があります。解約には「正当な理由」が必要で、認められるまでに時間がかかることも少なくありません。解約が認められても高額な違約金が発生する可能性もあります。

稼働率が良い場合の機会損失

サブリースは稼働率が良くても、満額の家賃収入を受け取ることができません。高稼働を維持できているのに8割程度の収入しか得られないと、機会損失が生じます。

敷金・礼金・更新料の帰属

サブリース契約では、敷金・礼金・更新料はサブリース会社が受け取るのが一般的です。オーナーの収益は毎月のサブリース賃料のみとなるため、一時金からの収入が得られない点もデメリットといえます。

免責期間の存在

サブリース契約の免責期間中は、オーナーは家賃収入を得られません。特に新築時は高い水準の家賃が期待できる時期なので、この時期の収入を逃すのは不利です。免責期間中に入居者が決まっても、その収入はサブリース会社のものになります。

家賃保証を選ぶべきケースと避けるべきケース

家賃保証がおすすめのケース

立地条件が不利な物件

駅から遠い、競合物件が多いなど、アパート需要に不安がある立地では、空室保証やサブリースの利用を検討する価値があります。どんなに魅力的な物件でも空室率を10〜15%未満にできるか不透明な場合は、家賃保証を検討するとよいでしょう。

経営の手間を最小限にしたい場合

不動産経営の知識や経験が少ない方や、本業が忙しく管理に時間を割けない方には、サブリースが向いています。物件管理の手間がほとんどかからず、安定した収入を得られるからです。

収入の安定性を重視する場合

将来の家賃収入を安定させたい、資金計画を確実に立てたいという方には、空室保証やサブリースが適しています。特に融資返済がある場合は、安定収入の確保が重要です。

家賃保証を避けるべきケース

立地条件が良好な物件

駅近や人気エリアなど、需要が高い立地の物件では、サブリースを利用すると機会損失が大きくなる可能性があります。高稼働が見込める物件では、通常の賃貸経営のほうが収益性が高いでしょう。

高稼働率が見込める物件

新築物件や設備が充実した物件など、高稼働率が期待できる場合も、家賃保証は不要かもしれません。平均稼働率が90%以上を維持できそうなら、保証料やサブリース会社へのマージンを支払うよりも、自己管理のほうが収益性が高くなります。

自己管理できる場合

不動産管理の知識や経験がある方、または信頼できる管理会社と契約できる方は、自己管理のほうが収益性は高くなります。特に複数の物件を所有している場合は、管理のノウハウも蓄積しやすいです。

判断するためのチェックポイント

家賃保証を利用すべきかどうかの判断には、以下のポイントを確認しましょう。

  • 物件の立地条件と周辺の需要
  • 物件の競争力(設備、間取り、デザインなど)
  • 自分の不動産管理スキルと時間的余裕
  • 安定した収入と高い収益性のどちらを優先するか
  • 将来的な家賃市場の見通し

信頼できる家賃保証・サブリース会社の選び方

会社の経営状況のチェック

家賃保証やサブリース契約は長期的な関係になるため、経営が安定している企業を選ぶことが重要です。上場企業や大手不動産会社のグループ企業など、信頼性の高い会社を選びましょう。

提示された保証料・サブリース賃料の妥当性

周辺の同条件の物件の家賃と比較したり、複数の会社の提案を比較したりして、提示された保証料やサブリース賃料が適正かどうか確認します。立地条件が良いほどサブリース賃料は高くなるはずです。

契約条件の確認ポイント

契約内容をしっかり確認し、以下のポイントに注意しましょう。

  • 免責期間の長さ(1〜3ヶ月が一般的)
  • 賃料改定の時期と条件
  • 契約期間と中途解約の条件
  • 敷金・礼金・更新料の帰属
  • 修繕費用の負担区分

実績や評判の調査方法

会社の実績や評判は、インターネットの口コミサイトや不動産投資セミナーなどで情報収集できます。また、すでにその会社と契約しているオーナーの評価を聞けるとより参考になります。

複数社比較の重要性

空室保証やサブリースを検討する際は、必ず複数の会社から提案を受けることが大切です。条件や料率は会社によって異なるため、比較検討することで最適な選択ができます。

信頼できる不動産会社を探す際には、複数の会社から提案を受けられるサービスを利用するのも効率的です。優良なハウスメーカーや不動産会社から、物件の経営プランを取り寄せることができるサービスもあります。

まとめ

空室対策としての家賃保証について、「空室保証」と「サブリースによる家賃保証」の2種類の仕組みとメリット・デメリットを解説してきました。主なポイントをまとめると以下の通りです。

  • 空室保証は空室による損失を一定範囲に抑えるサービスで、稼働率が良いときは全ての収入がオーナーのものになる
  • サブリースは物件をまるごと借り上げてもらうサービスで、安定した収入と管理の手間削減が最大のメリット
  • 立地条件が不利な物件や管理の手間を減らしたい場合は家賃保証を検討する価値がある
  • 立地条件が良く高稼働が見込める物件では、家賃保証を付けないほうが収益性は高くなる可能性が高い
  • 家賃保証会社やサブリース会社を選ぶ際は、経営状況や契約条件をしっかり確認することが重要

空室リスクを避けるための最も確実な方法は、需要のあるエリアに競争力のある物件を建てることです。

家賃保証は空室リスクを軽減するための一つの選択肢ですが、万能ではありません。自分の物件の特性や経営方針に合わせて、家賃保証を利用するかどうか判断してください。

不動産投資は長期的な視点で考えることが大切です。

短期的な空室リスクだけでなく、10年、20年先の収益性も考慮して、最適な選択をしましょう。

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